世の中の興味深いマーケティング事例や大きな数字、意外な事実など、経営者 榊原直也のアンテナに留まったビジネス話題を紹介する『ばらさんのBusiness Talk | バラトーク』。
人生のいきがいを見つけられずに、苦悩だけが深まっていく原因はどこにあるのか?今回はゲストに村西氏を招いて理想的な目標の立て方を伝授!あなたも真の「自分探し」をはじめてみませんか?
◇ 出演者 榊原直也 / 曽志崎寛人
◇ ゲスト 村西重厚さん
提供 : データ・サイエンティスト株式会社
https://kwtool.co/company.html
- 悩みを深めるだけの「横スライド式」自分探し
- 生活の中に達成感を得られるタスクを組み込む
- プロフェッショナルに学ぶ目標設定の妙
- 日常に隠された「意外性」を発見することの喜び
- 「自分探し」とは心地よいと思えることを続けること
悩みを深めるだけの「横スライド式」自分探し
榊原:毎日を充実させるべく、やりたいことを見つけては意気揚々と打ち込んではみるものの、3~4割くらいかじったところで満足してしまう。それからまた他へ目標を移しては、同じことの繰り返し。いわゆる「横スライド式」自分探しの無限ループ状態。
そして、ふとした瞬間に「いろいろ体験した割には、自分の中に何ひとつ深く根付いていないじゃないか!」と呆然となるわけです。「自分は何のために貴重な時間を割いてきたのか?」いう罪悪感とともに、スランプの入口に立ち尽くす自分を見つけ、ガクリと肩を落としてしまう。このような「不完全燃焼」こそが、人間の苦悩を深める原因なんですよね。
村西:同感です。何ごとも「完全燃焼」を目指すって大事。
最近、私は「富士登山競争」という一種のマラソンに参加することが決まり、その練習を兼ねて月一で富士山を走っています。これが信じられないくらい体力を消耗するんです。でも体力の限界まで走ると、不思議なことに思考の中にあった澱も排出されて、清々しい気持ちになります。
定期的に日常生活をリセットするには、体力を消耗したあとの反動が一役買ってくれるんですよ。
榊原:確かに、反動力がもたらすエネルギーって侮れませんよね。ムチの動きと同じで、右へ振れば振っただけ、その反動で思いっきり左へ振れる原理。我を忘れるほど没頭できる何かがあるからこそ、その反動で使う時間も集中できるわけです。
生活の中に達成感を得られるタスクを組み込む
村西:登山の魅力はそれでだけではありません。プロアマ問わず自分の限界に挑戦できる点も気に入ってます。人それぞれレベルこそ異なれど、限界まで挑戦して得られる達成感が等しいって素晴らしいじゃないですか。しかも、そこで得た達成感が次のモチベーションへとつながる。この感覚を日常生活に応用しない手はないでしょう。
榊原:なるほど。いかにして達成感を得られるタスクを生活の中へ組み込むか?がポイントですね。そして、このとき最も注意すべきは目標のゴールセッティングです。ゴールとなる基準を誤ってしまえば、目標に向かって持続力を維持することは困難ですから。毎回100点を取る必要もないのに、無意識の内に「100点取らなければ!」という圧力をかければ、達成感を得るどころか、それ自体が苦行になってしまいます。
典型的なゴールセッティングのミスといえば、スポーツの世界がイメージしやすいでしょう。例えば、アスリートの多くがオリンピックで世界記録を樹立したり、金メダル獲得後にとてつもないスランプに陥いりがちです。目標を達成したはいいが、自身の持つ記録を一向に更新できない日々が続く。その苦しみたるや計り知れません。
プロフェッショナルに学ぶ、目標設定の妙
村西:そうですね。世界一になる才能を持ち、その努力を惜しまない彼らの苦悩を理解するなんて・・・到底不可能です。しかし、我々には「やればやっただけ成長できる」という凡人ならではの強みがあります。世界記録など気にせず、ただ過去の自分と闘うだけで何かしらの改善点を見出せるわけですから。
榊原:その通りです。世界の最前線で活躍するプロフェッショナルが抱える苦悩を理解できなくとも、我々が彼らの姿勢から学ぶべきことはたくさんあります。とりわけ、頂点に達しても満足することなく、新たな課題を設けては地道に乗り越えていくテクニックは見習いたいものです。
曽志崎:プロフェッショナルとしての目標設定が絶妙なんですよね。
榊原:そう、意外と細かい目標を持っています。
例えば、イチロー選手。彼の持つ記録だけにクローズアップすれば、世界的な偉業ばかりです。しかし、日常における彼の練習内容といえば、ひじの位置や踏み込みのタイミング、腰のねじり方など数センチ単位の課題ばかり。彼のように、小さなこともバカにせず地道に努力を重ねれば、必ず結果は伴います。集中力と持続力を維持するためには、日々の努力が苦にならないよう、小さな達成感を意識した目標設定が肝心です。
日常に隠された「意外性」を発見する喜び
曽志崎:この2年あまり、毎週土曜日に東東京エリアを中心に走っています。仲間と一緒に走って朝食を食べ、そのお店にグーグルマップ上のピンを立てるという活動なんですが・・・かれこれ130店舗くらいのデータが集まりました。
「毎週続けるなんて意識高い!」なんて感心されることもありますが、実際はおしゃべりしながら隅田川沿いを和気あいあいと走っているだけなんです。そして、空腹になれば朝ご飯を食べて、その写真をUPして解散。誰に縛られることもなくマイペースに続けてきたこととはいえ、改めて「130」という数字を見ると、我ながら感慨深いものがあります。
また、電車などに頼らず自分の足で歩くと、いままで味わうことのなかった「東京」を肌で感じることができます。つい先日も、榊原さんにすすめられて渋谷方面へ繰り出したんですが・・・想像以上にアップダウンが激しくて苦戦しましたよ。
榊原:そうでしょう!渋谷ってめちゃくちゃ起伏に富んでいて、まさに「谷」って感じ。ちなみにすぐそばの代官山、これまたガチで「山」なんですよね。渋谷・恵比寿・中目黒という東京を代表する超人気エリアの中心に、代官山がそびえ立っているイメージ。
曽志崎:街歩きを通して、知っているようで知らない意外な一面を発見できます。改めて、体を使って経験することの重要性を感じました。
「自分探し」の正攻法とは心地よいことを続けること
曽志崎:新しく何かをはじめる際に、いきなり自分の限界に挑戦する必要なんてありません。心地よいと思えることに重きを置いて続けていれば、自ずとアイデンティティの一部になっていきます。
私の場合、先の130件のデータをもとに本を作る計画です。おすすめの朝食や店舗までのルートをまとめたものを多言語化して、オリンピックで来日する方々に配るつもりです。目的があって走りはじめたわけでもないのに、無意識に本作りに没頭している新たな自分を発見できました。
このように、まだ気付かずにいる自分自身の可能性を引き出すことが「自分探し」の正攻法ではないでしょうか。
榊原:そのためにも日々の小さな目標設定とその集大成、この両方がもたらす達成感が密接に結びついている生活が理想的といえるでしょう。ちょうど、日常という小さな舞台で自分自身と闘うアスリートが、4年に1度のオリンピックという大舞台に立ち、その集大成を披露するように。
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