世の中の興味深いマーケティング事例や大きな数字、意外な事実など、経営者 榊原直也のアンテナに留まったビジネス話題を紹介する『ばらさんのBusiness Talk | バラトーク』。
今回ご紹介するのは・・・資金調達に必要不可欠な3つのワーク、ビジネスモデルを明確化するための3つの観点、そして人生をより豊かにするための3つのテーゼ。副業家マサさんと一緒に、数字の3をキーワードにしながら人生設計について考えます。
◇ 出演者 榊原直也 / 曽志崎寛人
◇ ゲスト MASAさん / 村西重厚さん
提供 : データ・サイエンティスト株式会社
https://kwtool.co/company.html
- 融資の判断基準を左右する3つの“ワーク”
- 最速の環境適応能力とは「脱出」することである
- 人類の進化に隠された3つの“テーゼ”
- 手品のように好奇心を刺激しながら楽しく学ぶ
融資の判断基準を左右する3つの“ワーク”
マサ:独立を目指すなら、安定した収入源を確保しながら副業を軌道に乗せていくのがベスト。とはいえ刻々と変化する現代社会において、突如ビジネスのアイデアがひらめくことは多々あります。そんな急を要する場合は、無担保・無保証の公庫から資金調達するのが無難でしょう。
融資が受けられるかどうかを決めるのはビジネスモデルだけではありません。いかに魅力的なプロジェクトであっても、ヒトを通してビジネスが成立する以上「見込客の正確性」が物を言います。そのためには下記に挙げた3つの“ワーク”を意識することが重要です。
フットワーク:人脈の構築
ネットワーク:構築した人脈をビジネスにつなげる
ヘッドワーク:商圏分析
分かりやすく具体例を挙げて説明します。約20年前、カフェから発想を得た新ビジネスに着目した元リクルート社員がいました。独立を目指し退社した彼は、軽妙なフットワークを活かし、まずカフェでアルバイトをはじめます。実務経験を通してネットワークを拡大しながら、最寄駅周辺の歩行者数をカウントするなど徹底したヘッドワークを重ねます。結果、満額融資が下りたことは言うまでもありません。
自分のやりたいことに説得力を持たせるなら、彼のように現場でノウハウを学ぶのが一番でしょう。その際、自身に適した現場であるかどうかを次の3つの観点から判断します。
will:したいこと
can:できること
must:なすべきこと
じっくり経験を積むなら、個人と企業のwillとmustは合致しているべきですが、canは多少ズレていてOKです。できることが完全に合致してしまうと、それ以上の成長が見込めませんからね。
最速の環境適応能力とは「脱出」することである
村西:独立・転職を問わず、失敗した場合を想定しておくことも重要です。当然、志半ばで撤退を決意することは至難の業。しかし、サンクコストの回収ばかりに気を取られて悩んでいても時間の無駄。では、どのようにジャッジを下すのか?私の場合、自分の言動におけるズレが許容範囲を超えたと確信した時点で、一刻もはやくそこから立ち去ることに決めています。
榊原:「脱出能力」ですよね。科学的な解釈によれば、環境適応能力が高い生物ほど生存競争に勝ち残る。でも、遺伝子レベルの変化を遂げながら環境へ適応するなんて・・・はっきり言って時間がかかりすぎる。
そう考えると、脱出するのが最も手っ取り早い方法なんです。しかし、我々の発達した脳機能はそれを許してくれません。理性だけに従って、本来なら立ち去るべき場所に居続けるんだから、心身の健康を損なって当然ですよね。
社会問題化して久しい「いじめ」や「不登校」の原因も同じです。私たち大人がすべきことは、子どもに異変が起こる前に環境を変えてやること。
村西:にもかかわらず「石の上にも3年」なんて言いながら、子どもに無理を強いる。
榊原:そうなんです。どう考えても、成長が見込めないハズレの石の上に3年いるより、アタリの石を探す方が賢明なのに・・・
マサ:同感です。また、見つけた石がアタリか否か見当がつかない場合は、自分に変化をもたらしてくれるかどうか?を基準にするのもアリですよ。
人類の進化に隠された3つの“テーゼ”
マサ:思想家ヘーゲルの弁証法では、“テーゼ”を正とした場合に、それを否定する形で“アンチテーゼ”が生じ、そこから導き出される新しい概念を“ジンテーゼ”と定義します。この考え方の面白い点は、3つの“テーゼ”が繋がっているところです。
ジンテーゼが誕生して終了とはならず、ジンテーゼが再びテーゼとなって、新たなアンチテーゼを生み出すんです。それを延々と繰り返しながら世界は成り立っている。
榊原:「スパイラル進化」ってやつですね。
マサ:はい。過去の自分を思い返してみても、順風満帆なテーゼ状態よりも、「なにくそ!」とアンチテーゼと向き合っているときの方が、はるかに学ぶことが多かった。つまり進化していた。
榊原:確かに。アンチテーゼと対峙しているときって異様な力がみなぎります。ちょうど宇宙へ飛び立つロケットが、地球の重力を思い切り跳ね返す感じ。目的を果たすために、最大限のエネルギーを必要とするからこそ、導き出されたジンテーゼに価値がある。
村西:そう考えると、世の中アンチテーゼの存在って段々と薄くなってませんか?ほんの10年くらい前までは、パワハラだのなんだの四方八方アンチテーゼだらけだったのに・・・
榊原:確かに。ビジネスだけに限らず、いまの日本社会って居心地がよくなりました。でも、どうでしょう?技術進歩が人類の怠惰を招くかといえば、案外そうでもない。決して現状に満足することなく、常に新しい課題を探求する生き物、それが人間なんだと改めて感じます。
手品のように好奇心を刺激しながら楽しく学ぶ
村西:最近、趣味が高じてギター教室に通いはじめました。当初は独学で身に着けた癖を心配していたものの、先生からなんの指摘も受けませんでした。もちろん、私から質問すればプロとして的確なアドバイスをしてくれます。
そこで気付いたんですけど・・・技術上達の近道って、まず本人に疑問を持たせて課題感を高めることではないか?と。人間って自分から求めてもいないのに、あれこれ指導されても頭に入ってこないんですよね。その原理を熟知している先生だからこそ、ニュートラルな立場を貫けるのかな、と感じます。
榊原:なるほど。その原理を知っている教育者って少ないでしょうね。
例えば、手品の醍醐味は「どんな仕掛けなんだろう?」と好奇心をくすぐられる点にあります。にもかかわらず、日本の教育者の多くは手品を演じる前にタネ明かしからはじめちゃう。歴史の授業ひとつとってもそう。既成事実を詰め込むよりも、なぜA国とB国は仲が悪いのか?って好奇心を刺激する方が、驚きがあって実にもなる。
村西さんのギターの先生にしたって、本当は気になっていることがいっぱいあるはず。だけどそれをグッと堪えて、本人の好奇心が刺激されるのを待っているわけです。
村西:コントロールの軸を生徒側に置くこのやり方は、相当な忍耐力を必要とします。それを我慢できる教育者が増えれば、これからの日本の未来は大きく変わることでしょう。
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