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9月は特集『翻訳が紐解く文学と社会』と題して、西崎憲さん(翻訳家/作家)と松永美穂さん(翻訳家/早稲田大学教授)をゲストにお迎えしてお送りしまました。

 

このページでは、4回にわたってお届けした特集をまとめています。ぜひお聴きください!

 

番組のオンラインコミュニティ「もしもし文化センター」へは、下記よりアクセスいただけます!みなさんの参加をお待ちしております!

https://basic.motion-gallery.net/community/moshibun

 

また、Spotifyにて番組のエピソードとゲスト&パーソナリティの選曲を織り交ぜたプレイリストを更新中です!ぜひ「My Library」への登録お願いします!

https://open.spotify.com/playlist/6EY8LFSdS7B0OOl5wxldXr

 

「MOTION GALLERY CROSSING」は、編集者の武田俊と演劇モデルの長井短が、日本最大級のクラウドファンディングサイト「MOTION GALLERY」のプロジェクトを紹介しながら「これからの文化と社会のはなし」をゲストとともに掘り下げていくラジオ番組。東京・九段ハウスをスタジオにお送りいたします。(9月はリモート収録)

 

#063/section1「翻訳家が賞賛する翻訳」

https://propo.fm/motiongallerycrossing/63

初回となる今回は、ゲストのお二人がともに立ち上げから携わり選考委員をつとめてらっしゃる「日本翻訳大賞」についてお話しいただきました。

発起人であるゲスト西崎さんのTwitter投稿に、あの「ぷよぷよ」を手がけた米光一成さんが賛同したことから始まったという「日本翻訳大賞」。それまで翻訳者を顕彰する賞はほとんどなかったなかで、翻訳家からみて賞賛の気持ちを感じるものに贈るとして、どうやってフォーマットをつくりあげていったのか、原文があればSNS投稿や日本の古典もOK!という対象の広さ、一般選考と選考委員の票をミックスするからこその気付きなど、設立時のクラウドファンディング含め今もインディーズとして継続するそのスタイルに、ぜひ来年参加してみたくなりますね…!

そして長井さんが村上春樹さんによる翻訳本を読んだというエピソードから、翻訳する際の「自分」の出し方とそしてその逆についての考察も、非常に興味深いトークとなりました!

さらには、特集にちなんだ翻訳本の話題で、”女性がいなくなった世界を描いたSF短編”のこと(長井さん)、「冷血」を書いたカポーティのこと(武田さん)など、オープニングやエンディングもお聞き逃しなく…!

 

#064/section2「ロボットの「I」を何と訳す?」

https://propo.fm/motiongallerycrossing/64

ドイツ語翻訳を手がけるゲスト松永さん。作品から無意識に影響されることや、一文が長くなりやすい言語だからこその葛藤、原文の特徴を翻訳にどこまで出すのか、というお話に、言語が異なると工夫も異なるという気付きが。

そして気になる「第7回日本翻訳大賞」受賞作について、ゲスト西崎さんには、ユニークなキャラクター造形が作品の魅力の「マーダーボット・ダイアリー」(マーサ・ウェルズ/中原尚哉訳)について、例えば「I」を「弊機」と訳すことや、緊迫したシーンも「ですます」調を使うことの難しさなど、ロボットだけど不思議と人間味あるその性質が伝わるよう訳された中原さんによる翻訳の妙について。また、ゲスト松永さんがジャンル分けできない不思議な本と話す「失われたいくつかの物の目録」(ユーディット・シャランスキー、細井直子訳)については、章ごとに、書かれる対象も、書き方・文体もSF風・百科事典風のように異なる、他に例を見ない1冊を訳した翻訳家・細井さんの全力・誠実さなど、お二人のアツい解説に、読みたくなる…!と収録も盛り上がりました!

さらには、武田さんが「もしもし文化センター」でおすすめした書籍のこと、空前のエスプレットソニック・ブームなど、リスナーさんからの嬉しいコメントに”褒められて伸びる”など、オープニングやエンディングもお聞き逃しなく…!

 

#065/section3「言語と流通」

https://propo.fm/motiongallerycrossing/65

長井さんの中学生時代のエピソードから性別や年齢というキャラクターの属性による翻訳された時の口調や文体の在り方について、そして「日本翻訳大賞」の選考作品の傾向から考える翻訳の意義についてお話しいただきました!

ブラック・ライブズ・マター、フェミニズムなど社会状況に肉薄する選考作も増えているなか、作品に昇華するまでに1-2年かかるからこその影響力、普遍性というインターネットとは異なる文学の役割について再認識するのはもちろん、翻訳を通すことで言語の数だけ存在する文学・文化風習を知れるという魅力、翻訳の流通としての意義の大きさを実感する回となりました!

さらには、リールのこと(武田さん)、原稿のこと(長井さん)、重大発表(大高さん)など、オープニングやエンディングもお聞き逃しなく…!

 

#066/section4「市場と流通を見極めたクリエイティビティの活かし方」

https://propo.fm/motiongallerycrossing/66

特集最終回の今回は、ゲストのみなさんにお聞きしている”お金とクリエイティビティ”の共存について、設立からこれまでもインディーズとして継続する「日本翻訳大賞」と、いわばインディーズの活動をサポートし続けるMOTION GALLERY。そんな2つの視点をベースにトークは繰り広げられました!

出版不況と呼ばれて久しい現代では市場の規模や流通のレベルの見通しをつけたDIY出版に可能性があることを切り口に、自分の中にも翻訳・出版・音楽など複数の”足場”を持って全体でバランスを取っていくことが大切、というフリーランスとしての生き方の話に…!意外だけれども、一同納得の展開となりました。

さらには、長井さんの誕生日会をやりたい、武田さんのアウトドア趣味抱き合わせプラン、大高さんの読書の秋など、オープニングやエンディングもお聞き逃しなく…!

MOTION GALLERY CROSSING(モーションギャラリークロッシング)

MOTION GALLERY CROSSING(モーションギャラリークロッシング)

編集者の武田俊と演劇モデルの長井短が「これからの文化と社会のはなし」をゲストとともに掘り下げていくPodcast(ポッドキャスト)番組『MOTION GALLERY CROSSING』。日本最大級のクラウドファンディングサイト「MOTION GALLERY」が東京・九段ハウスから毎週お届けしています!

「表現」のようなクリエイティブな活動や「まちづくり」のようなパブリックな活動は、どうしても短期的な経済合理性と二律背反になりがち。新しいチャレンジやアイデアが「お金」を理由にストップせざるを得ない事例を1つでも減らすために立ち上がった「MOTION GALLERY」には、そんな二律背反を打破する新しい文化投資・社会投資の種や事例が沢山あつまっています。『MOTION GALLERY CROSSING』では、そんなプロジェクトの話しも交えつつ、みんなで「これからの文化と社会のはなし」を考えて行きたいと思っています。

https://info.motion-gallery.net/crossing/

今回の出演者

西崎憲

西崎憲

翻訳家・作家

日本翻訳大賞選考委員、文学ムック『たべるのがおそい』編集長。訳書に『郵便局と蛇』コッパード、『ヴァージニア・ウルフ短篇集』『ヘミングウェイ短篇集』(ちくま文庫)、『第二の銃声』バークリー(創元推理文庫)など。編纂・共訳に『短篇小説日和』『怪奇小説日和』(ちくま文庫)など。共訳書に『ピース』ウルフ(国書刊行会)など。著書に第十四回ファンタジーノベル大賞受賞作『世界の果ての庭』(東京創元社)、『蕃東国年代記』(新潮社)、『ゆみに町ガイドブック』(河出書房新社)『飛行士と東京の雨の森』『未知の鳥類がやってくるまで』絲山秋子賞受賞(筑摩書房)、『全ロック史』(人文書院)『ヘディングはおもに頭で』サッカー本大賞特別賞(KADOKAWA)など。歌集『ビットとデシベル』(書肆侃侃房、歌人名はフラワーしげる)。現在電子書籍や音楽のレーベル〈惑星と口笛〉主宰。音楽家でもある。

松永美穂

松永美穂

翻訳家・早稲田大学教授

愛知県出身、広島市の中学・高校を卒業。東京大学大学院人文社会研究科博士課程満期単位取得。訳書にベルンハルト・シュリンク『朗読者』(新潮社、毎日出版文化賞特別賞受賞)、カトリーン・シェーラー『ヨハンナの電車のたび』(西村書店、日本絵本賞翻訳絵本賞受賞)、ライナー・マリア・リルケ『マルテの手記』(光文社古典新訳文庫)、ヨハンナ・シュピリ『アルプスの少女 ハイジ』(角川文庫)など。

この番組のパーソナリティ

武田俊

武田俊

メディアリサーチャー・文筆家・編集者

1986年、名古屋市生まれ。法政大学文学部日本文学科兼任講師。JR埼京線沿線のエリアスタイルマガジン「SAI-KYO DIALOGUE LINE」編集長。まちづくり領域のバーティカルリサーチメディア「M.E.A.R.L」編集長。JFN「ON THE PLANET」月曜パーソナリティ。 大学在学中にインディペンデントマガジン『界遊』を創刊。編集者・ライターとして活動を始める。2011年、代表としてKAI-YOU,LLC.を設立。2014年の同社退社以降「TOweb」、「ROOMIE」、「lute」などカルチャー・ライフスタイル領域のWebマガジンにて編集長を歴任。メディア研究とその実践を主とし、様々な企業のメディアを活用したプロジェクトにも関わる。右投右打。

http://takedashun.com/

長井短

長井短

演劇モデル

1993年生まれ。東京都出身。モデルとして活躍する傍ら、舞台、TV、映画で女優として活躍、またバラエティでも特異なキャラクターで注目される。最近の主な出演作に、KERA×CROSS第2弾『グッド・バイ』、月刊「根本宗子」第6号『バー公演じゃないです。』他。TVドラマ「ギルティ」(YTV)「離婚なふたり」(EX)、「家売るオンナの逆襲」(NTV)、映画『あの日々の話』「耳を腐らせるほどの愛」。

http://popbelop.blogspot.com/

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