世の中の興味深いマーケティング事例や大きな数字、意外な事実など、経営者 榊原直也 のアンテナに留まったビジネス話題をご紹介する「ばらさんのBusiness Talk | バラトーク」。
今回のテーマは、物事の「必要性」。EU統合の歴史やルール作りのあり方から、困難な課題・高いハードルを越えるための方法についてディスカッションしました。
◇ 出演者 榊原直也 / 曽志崎寛人
提供 : データ・サイエンティスト株式会社
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- ヨーロッパにEU統合を実現させた原動力
- 日本が世界で生き残るために必要な「問題解決型教科書」
- 「必要性」を意図的にクリエイトする、という新しい視点
- ルールを繰り返し作ることでビジネスは走り出す
ヨーロッパのEU統合を実現させた原動力
榊原:EUとしてヨーロッパの国々がひとつになるというのは、アジアとは比較にならないほど高いハードルだったと思います。「必ずヨーロッパが一丸とならないといけない」という必要性があったからこそ実現できたのかな、と。
曽志﨑:ヨーロッパとアジアで、その「必要性」の差はどこから生まれるのかが、キーポイントな気がします。
歴史的に、ヨーロッパというのは隣国との血みどろの戦争を経験してきた地域です。アジアと比べると寒い気候で穀物も育ちづらいことから、生き延びるために隣国同士で戦ってきたわけです。
しかし第二次世界大戦後、ヨーロッパはEUというひとつの共同圏を形成していくことになります。もう十分すぎるほど戦ったので、これ以上の戦いは避けたい・・・。しかし、通貨の価値を担保できないような国々を地域内で取り残してしまうと、また新たな火種になるかもしれない。そういった背景から、皆が豊かに生きられるエコシステム(EU)を作らねばならないという結論に繋がったのではないでしょうか。
自国の通貨を捨ててまでEU統合を実現するには、相当強烈な「必要性」があったのだと想像できます。
榊原:改めてEU統合はすごい決断ですよね。一番最初に声をあげた人はすごいな、と思います。
日本が世界で生き残るために必要な「問題解決型教科書」
榊原:近代史って大事ですよね。とくに時代を動かした人を学ぶことは大切です。でも、行ったこともない国の会ったこともない昔の人の名前を記憶するのは非常に苦労します。抽象的すぎて、覚えられないんです。
歴史を学ぶ上で重要なのは、それが「現代の何に結びつくのか? 」「我々の意思決定にどんな示唆を与えるのか?」という点です。
今の小中高の教科書には、歴史的事実は書かれていますが、そこから得た教訓までは書かれていません。バビロニアがなぜあれほどまでに領土を拡大させ、なぜ衰退したのか? どんな教訓があったのか? 現代にどう繋がっているのか?そうしたところまで踏み込みこんだ、「問題解決型の教科書」が必要だと思います。
おそらく、世界にはすでに問題指向型・課題解決型の教育を試みている国や学校もあるのではないでしょうか。日本も文部科学省がリーダーシップをとって、世界中からベストケースを探し、国内で実験的に導入するべきです。小中学校などの教育機関はもちろん、民間企業に展開すべきノウハウもあるでしょう。そういった事例の収集・精査・評価・選定を行うのも、国として生き残るための国家戦略として大切な取り組みだと思います。
「必要性」を意図的にクリエイトする、という新しい視点
曽志﨑:あとひとつ注目すべき視点としては、歴史を動かす必要性が「なぜ」生まれたのか、という部分だと思います。
榊原:必要性が生み出された経緯は重要ですよね。
EUの事例からわかるように、人は高いハードルでも「必要性」さえ感じれば乗り越えられる。社員教育においても、子供の教育においても、「必要性」を『感じさせきったかどうか』がポイントになるんです。
そこで目を向けたいのが、世界中の様々な事例における、背景や経緯の部分です。
なぜその発案に至ったのか? 人はどういう時に「必要性」を痛感したのか?
数多の事例からルールや法則を見出すことができれば、人を動かすための「必要性」を自らクリエイトしていくこともできるのではないでしょうか。まだどの国もやっていない、手つかずの取り組みとして注目していきたいですね。
ルールを繰り返し作ることでビジネスは走り出す
曽志﨑:「必要性」を生み出すには、ルールや仕様が大切ですよね。ドイツでは人生ゲームのようなボードゲームが大変人気で、広く浸透しているそうです。ボードゲームというのはある種ルールを作るという行為であり、ドイツ人の中には当たり前のようにカルチャーの中に根づいています。残念ながら日本では、ルール作りへ主体的に関わるという経験はなかなか多くありません。
主体的にルールを作る立場を経験すると、ルールの「必要性」に気づくことができます。
榊原:確かに、「必要性」と「ルール作り」は鶏と卵のような関係ですね。ルールを作る過程でいろんな必要性に気づきますからね。
気づいたことを踏まえてルールを手直ししても、回していく内にまた新たな課題にぶつかる。そこで別の「必要性」を痛感してまたルールを整理していく・・・という車輪を回し続けることになるわけです。
起業家が意気揚々と自らのビジネスに乗っていけるのは、まさに自らルール作りをすることで、いろんな「必要性」を痛感できているからと言えるかもしれません。
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