世の中の興味深いマーケティング事例や大きな数字、意外な事実など、経営者 榊原直也 のアンテナに留まったビジネス話題をご紹介する『ばらさんのBusiness Talk | バラトーク』。世の中の興味深いマーケティング事例や大きな数字、意外な事実など、ビビッときたものをご紹介する番組です。今回のテーマは、組織のおかしな人事。必ずしも有望な社員をアサインするとは限らない人事の裏に隠れた、経営層の意外な狙いをドラマ仕立てでお伝えします。
◇ 出演者 榊原直也 / 曽志崎寛人
提供 : データ・サイエンティスト株式会社
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- 社員が騒ぐことで生まれるアサインの説明責任
- リアル裏ドラマ 〜驚愕人事の舞台裏〜
社員が騒ぐことで生まれるアサインの説明責任
(榊原)組織において、経営陣が大事なプロジェクトに人をアサインする時、優秀な社員を集めるのはスタンダードなやり方ですよね。そんな王道パターンの人事も良いのですが、今回僕が注目したいのは、誰もが意外に思う人をアサインするケースです。まあ、それによってアサインされた人たちは苦労するでしょうね(笑)。この人事、どんな意図があると思います?
(曽志﨑) プロジェクトに新しい発想が出てくる可能性を期待しているんでしょうか?
(榊原)いえ、新しい発想はあまり期待できないんです。実は、「何であの人が?!」と他の社員たちを大騒ぎさせることが目的なんですよ。
(曽志﨑)議論を巻き起こすことがテーマなんですね。
(榊原)普通だったらあり得ない人事をすることで、アサインした側に説明責任が生まれるんですよ。至るところの会社の飲み会で、「部長、何であの人がアサインされたんですか?」と聞かれまくる。その度にどう説明するか、部長の手腕が問われるところです。
「いや、俺も会社が何考えてるかわからんねん…。」と消極的に答える部長もいれば、「俺が思うに、おそらく俺たちの想像を超えた経営陣の意図があるはず。どんな可能性があると思う?」と部下たちとのディスカッションに持っていく部長もいる。ディスカッションすることで、今まで想像していなかったようなところに思考が及ぶ可能性が生まれるんですね。
今回は、後者の部長にフォーカスして、意外性のある人事からどんな可能性が生まれるのか、考えてみたいと思います。
リアル裏ドラマ 〜驚愕人事の舞台裏〜
____ とある居酒屋。社運を賭けた新プロジェクトのサブリーダーに、なぜ優秀な実績もない社員Bが抜擢されたのか。アサインの理由を議論した部長とその部下たち。議論の末、たくさんの仮説が浮かび上がった。
部長:よし、今日みんなで議論した仮説を、本部長に聞きに行ってみたらええわ。
社員A:そんなことしていいんですか?!
部長:ええねん、それでこそやねん。早速明日アポとっといたるわ。
____ 翌日朝10時、本社会議室にて。
本部長:今日はまた突然、どうしたんや。
社員A:実は、今回のプロジェクトでなぜBがアサインされたのか、社員の間で話が持ちきりなんです。そのことでお話があります。
本部長:まあ、そこ座りや。
(きたきた。いつか声をあげる奴が現れると期待してたんや。こいつ、見所あるな。社員の9割はただ不満をあげるだけで終わるが、残りの1割はいろんな可能性を提示した上で会社の目的を確認してくる。こいつはどっちで来るんかな。)
社員A:実は昨日、部内で今回の人事の背景にある経営陣の皆さんの狙いをディスカッションしまして、5つの選択肢が出てきました。そのうち3つは面白い仮説だと思うので、ちょっと確認も含めて聞いてもらえますか。
本部長:ええよ(ワクワク)。
社員A:まず可能性1。プロジェクトリーダーの育成能力を見極めるため。今回サブリーダーにアサインされたBさんは、リーダーとはそりが合わないタイプですよね。あえて異質のもの木材を組み合わせて構造の強度を高める宮大工のように、最強のタッグを作る狙いなのかな、という仮説です。
可能性2は、今話題になっているBさんを自主退社に追い込むため。
可能性3。このプロジェクトは今までの社風とは全く違う新しい領域への挑戦ですよね。だからこそ、社内で一番未知数のBさんをアサインして、未知なるベストアサインを狙う博打人事をした。
さあ、本部長。3つのうちどれですか?!
本部長:お前、面白いなあ。ちなみにお前がボツにした残りのふたつは、どんな案やったん?
社員A:残りの案はですね、、、実はBさんは社長か役員の親戚で、コネでアサインされたという話が出たのと、うちの経営陣って実は頭が悪いんちゃうか、という案です(笑)。ここだけの話、こういう話ってよく社員たちの間では話題になるんですよね。
本部長:なるほどな(笑)。なかなかええとこ突いてくるなあ。実はな、最初の3案、全部正解。まず、Bはあまりにも他の社員と毛色が違う。今回の新プロジェクトも今までの社風とは違う。よって、合ってるか分からんけど、あいつにやらせてみようと思った。で、もしあいつがほんまにできへんと分かったときは、見切りがつく。最後に、今回のリーダーは我が社のエース。彼がBをどう扱うか見てみたいと経営陣全員の意見が一致して、あいつに決まったんや。他の選択肢はなかった。
社員A:!!!
~完~
(榊原)以上、組織の意外な人事の裏側について、ドラマ仕立てでお送りしました(笑)。
(曽志﨑)疑念を持つということは、危機感を覚えるということじゃないですか。生存危機に晒されるっていうことに近いかな、と思っていて。それに抗おうとする力が、その組織の次をつくっていくエンパワーメントにつながる。これがポイントかな、と思います。
(榊原)いいこと言いますね。そうなったら面白いと思いますよ。
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