色々な事例や大きな数字、意外な事実など、経営者 榊原直也 のアンテナに留まったビジネス話題をご紹介する『ばらさんのBusiness Talk | バラトーク』。

今回のテーマは、ブロックチェーン技術の可能性。サービスに対する緩和と引締のサイクルを追いながら、生み出される新しい価値に迫ります。

 

◇ 出演者 榊原直也 / 曽志崎寛人

◇ ゲスト 大前和徳さん

提供 : データ・サイエンティスト株式会社 
https://kwtool.co/company.html

  • 日本では下火の仮想通貨やAirbnb。ルール明確化が追い風に?
  • 治安が悪い国でもUberが成り立つ要因
  • 規制緩和の時期に起きたCoincheckの事故
  • マスコミの過剰な事故報道が民間企業を萎縮させる
  • ラボグローダイヤモンドも箔が付くブロックチェーン技術の可能性
  • データで判断する「本物」の価値
  • 背景にあるストーリーがモノの価値を高める
  • 商品のオリジナリティこそが競争優位に影響する時代

日本では下火の仮想通貨やAirbnb。ルール明確化が追い風に?

大前:グローバルな視点で観ると、仮想通貨やクリプトカレンシー、デジタルアセットなどは、今非常にホットな話題です。

例えば、ビットコインの価格が1万ドルを回復したニュースも出ていますし、Facebookも独自の仮想通貨Libra(リブラ)を発表するなど盛り上がっています。

日本では、仮想通貨取引所のCoincheck(コインチェック)やZaif(ザイフ)などで仮想通貨の流出事故が起きてからは、ビットコインの価格も下がるなど「日本じゃ仮想通貨はダメかな」という雰囲気です。

しかし、世界を見渡せば、一周回ったステージに移行して「仮想通貨はこれからでしょ!」という風潮があります。

榊原:日本では、数年前に民泊を規制する法律が施行された影響で、Airbnb(エア・ビー・アンド・ビー)ビジネスは日本国内の業績が伸び悩んでいました。

僕はこのまま日本のAirbnbはもうダメになっていくだろうな、と思っていました。

しかし、Airbnbの社長の見方は逆でした。

「ようやく日本の民泊ビジネスが明確に定義された。これからがビジネス拡大のチャンスだ」と。

つまり、ルールが明確になったことで、民泊ビジネスのAirbnbにとっては追い風になったという見方でした。

 

治安が悪い国でもUberが成り立つ要因

曽志崎:緩和と規制のサイクルが一周したということですね。

榊原:特に粗悪品は自主規制で淘汰されるのではなく、国を挙げて規制されたということですよね。

規制が厳しくなった一時期は、マーケットの自由度が奪われたかのように感じられますが、規制されることによって「黒」と「白」、あるいは「グレー」な部分が明確になるということです。

大前:おっしゃるとおりですね。民泊に関して言えば、先日僕のところに札幌で民泊運営している社長が資金調達の相談に来られたのです。

僕は当時、「今更民泊ですか?」「180日しか稼働しない民泊で儲かるんですか?」という疑問を持っていたのです。

しかし、意外なことに「儲かる」という回答をいただきました。

札幌にはインバウンドのニーズがあるにもかかわらず、ホテル数が少ないという特殊事情もあります。また、物件の値段も安価なため、物件を持つことのコストも抑えられて、結構良い利回りがとれている可能性があるのです。

このような事情を聞くと、逆にこのビジネスは改めてアリなんだと再認識しました。

榊原:規制が明確になったことで、安心してビジネスができるということですね。特に日本は、モラルの高い国です。

例えば、Uber(ウーバー)のような個人配車サービスなども、日本よりもモラルの低い国でさえ成り立っています。

これは、個人配車サービスの評価システムが機能しているからです。配車サービスを利用したユーザーが「この車は乗り心地が良かった」とか「対応が良かった」と評価をすることで、評判の悪い配車サービスは淘汰される。競争原理が有効に働きますよね。

大前:食べログなどにも言えることですが、良いモノを提供するサービスに人気が集まりますから、自由競争の中では常に良いサービスを提供しなければなりませんね。

 

規制緩和の時期に起きたCoincheckの事故

榊原:例えば、法整備されるまでの緩和の時期には、誰でも配車サービスを行なって良いことにして、「あと3年で緩和時期は終わります」と予告しておく。

緩和の3年間にレーティングでいかに良い評価(星など)を得るかを競い、期限が来たら、その時期以降は「星4つを獲得している人だけ」が次の3年間の営業許可を得る、といったやり方もあると思います。

大前:まさに仮想通貨交換業ビジネスがそのやり方でしたね。仮想通貨交換業ではまず「みなし業者」の期間を作りました。

ある時期までに仮想通貨交換業を申し込んだ人は、みなし業者としてサービスを開始できた。多くの業者が「とりあえず」始めるスタンスで、業務を続けながら正式ライセンスへの切り替えを目指したのです。

あのCoincheckも、流出事件を起こした当時はみなし業者でした。

事故があったため、なかなか正式業者にはなれなかったのですが、マネックスがスポンサーになることで、ようやく正式業者に認められました。

緩和の時期にはさまざまなサービスが生まれて、消費者側からみても選択肢が増えます。もちろん期待以上に良いサービスも出てくるのですが、やはりどこかで事故が起きるのです。

 

マスコミの過剰な事故報道が民間企業を萎縮させる

榊原:事故が起きた時の報道の仕方も気をつけなければなりませんね。

「事故が起きたからいかんのや!」「事故が起きたのはちゃんと規制しないからや!」「国は何やってんねん!」といった、短絡的な論調で書くのはよしていただきたいです。

今の大前さんの話を伺うと、当局も国内での自由度を高めたり、競争環境を作ろうとして戦略的に緩和する時期を設けているケースもあるわけですよね。

緩和の時期はいろいろな事が起こります。なぜなら、事故を起こしてはいけない中で、あえてリスクを取りにいくからです。

ハイリスク・ハイリターンを取る時期には、リスク面でさまざまな事が起こります。なにか起これば「ほら出てきたぞ」ということで、今度は引き締め期間に入る。そしてまた緩和を再開する。

この繰り返しをすることではじめて産業が普及していくわけです。

また、初めから厳しいルールを決めておくと、日本は自由度が低いと怒り出す方々がいますよね。

結局聞いている僕らからしたら「どっちやねんっ!」と思うわけです。緩和と規制をうまくコントロールすることが必要だということですよね。

大前:明らかに規制強化が盛り上がっている時期は、民間側は萎縮してしまいますよね。やはり、当局の姿勢は民間企業に大きな影響を与えます。

榊原:緩和や規制のバランスによっては、勝手な金融庁も山ほど出てくるわけですよね。

大前:特に規制業種は当局の動きにデリケートに反応してしまいます。うまくプロモートする、あるいはプロモートした上で規制を行うことが大切ですね。

 

人工ダイヤモンドに箔が付くブロックチェーン技術の可能性

榊原:金融業界と極めて相性が良いものとしてブロックチェーン技術がありますよね。最近では、人工ダイヤモンドの業界でもブロックチェーンが活用されつつあるらしいのです。

実は、ダイヤモンドは研究室や工場でどれだけでも作れます。工業用ダイヤモンドはよく聞きますよね。

「普通のダイヤモンドと見分けつかへんやん!」ということで、売りたくなくなるほど、装飾品としても綺麗な存在です。

しかし、人工ダイヤモンドを価値あるものとして売るならば、どこで作られたダイヤモンドの証明書が必要になりますよね。

そこで、ダイヤモンドの出生記録がでてくる。や、どのような経緯で誰の手を渡ってここにたどり着いたのか、いわゆる血統書のようなものを証明するのにブロックチェーン技術が向いているわけです。

ブロックチェーン技術を用いることで、人工ダイヤモンドに箔を付けることも可能です。

大前:天然モノではなく人工であることを言い切るわけですね。

榊原:養殖マグロと天然マグロの違いのようなもので、最近では養殖マグロでも美味しいわけです。これはマグロに限らず養殖うなぎでも天然と同じくらい美味しければニーズがあります。

しかし、養殖モノであるならば箔付けも大切で、どこで養殖されたものか、詳しく証明することで人気も上がるわけです。

人工ダイヤモンドも同じで、本物と遜色ないほど綺麗であれば、ニーズがあるのです。

最近の人工ダイヤモンドで「ラボグローダイヤモンド」をご存知でしょうか。これは、研究室(ラボ)で育て(グロー)られるダイヤモンドのことです。

一般的な人工ダイヤモンドとは比較にならないほど、天然ダイヤモンドに近く、顕微鏡などで観ても天然モノとほぼ見分けがつかない。

ダイヤモンドに近い屈折率を持つと言われるジルコニアでも、屈折率は2.16です。煌めきではダイヤモンドには勝てないわけです。

しかし、ラボグローダイヤモンドの光の屈折率を計ると、天然ダイヤモンドの屈折率である数値と同等の2.42。

また、光の分散についても、優れたクラスの天然ダイヤモンドが0.44なのですが、ラボグローダイヤモンドも同じ値です。

つまり、精密機械で測定しても、天然か人工は全く差がないということなのです。

 

デジタルデータで判断する「本物」の価値

榊原:ラボグローダイヤモンドは、欧米ではすでに販売開始されています。

大前:販売しやすい価格なのですか?

榊原:天然ダイヤモンドの半値だそうです。

機械で測定しても数値の変わらない天然ダイヤモンドとラボグローダイヤモンドは、モノ自体はどちらも本物と言っても過言ではないのです。

大前:天然ダイヤモンドと測定値まで同じモノならば、本物のダイヤモンドとはいったいなんなのか、という疑問が湧いてきますね。

榊原:どこかで採れたか、あるいはラボで作られたかという違いだけになりますね。

実は、ラボグローダイヤモンドのほうが人類の平和にとっては良いのです。

血みどろの争いをしながらダイヤモンドの権利を争う『ブラッド・ダイヤモンド』という映画もありましたよね。小さい子供も劣悪な環境でダイヤモンドを取るような。

ラボグローダイヤモンドなら、その必要性もなくなるというわけです。

そして、ラボグローダイヤモンドはブロックチェーン技術を使うことで箔をつけることもできるのです。

大前:モノの真贋は、ブロックチェーンに記録されたデータですぐに判断できますね。

 

背景にあるストーリーがモノの価値を高める

大前:例えば、トレーディングカードでも、世界に1枚しかないレアカードをブロックチェーンにデータとして記録することで、「俺のこのカード、偽物じゃないぞ」という証明になり、トレーディングカードの世界でもブロックチェーン化が有効でしょう。

榊原:仮想通貨をはじめとして、ブロックチェーン技術はもともと価値の無いものから、価値を生み出すことができます。

ラボグローダイヤモンドという、今まで存在しなかったものに本物のダイヤモンドと同等の価値を付けられるわけですね。

トレーディングカードも、人間が作り出した「カード」という架空の存在に高価な価値が付くわけです。

曽志崎:ラボグローダイヤモンドを製造できるラボが世界各所にあったとして、製造元のラボによっても価値が違うということがあるのでしょうか。

榊原:今現在はまだ勃興期です。さまざまなラボが存在するかもしれませんが、厳格なルール自体はまだ無いと思います。

曽志崎:トレーディングカードの話でも、今自分が手元に持っているレアカードは、実は世界大会の「あのディフェンディングチャンピオンに勝利して奪ったカードである」など、前の所有者が誰であるかも含めて箔だと言えますよね。

それが連綿と続いていくと、目の前のラボグローダイヤモンドが綺麗だということも価値ですし、ここに来るまでのコンテキストも価値の証明につながります。

この事実で注目すべき点は、現在ラボグローダイヤモンドは天然ダイヤモンドの半値ですが、今後それ以上に価値が上がる可能性がある、ということですよね。

榊原:その可能性はありますね。

コンテキスト自体に価値が付与されるという曽志崎さんの話で言えば、例えばこのラボグローダイヤモンドは「実はマイケルジャクソンが持っていたものだ」といった価値の付与もあり得るわけです。

大前:イメージとしては、メルカリから始まるリユースの話も出ています。

リユースの話題では必ず「これってガラクタでしょ?」という見方がある中で、「でもこの人が使っていたマグカップだ」という価値も存在するのです。

 

榊原:あと、テレビで有名人が紹介していたモノなんかも。実際に接触していないモノでも、価値は付けようがありますよね。そこにストーリーが乗ってくる。

うなぎの稚魚にしても、元々の生まれが中国のどこかで産まれて、生後6ヶ月ほどで日本に輸入して育てれば、日本産として登録されています。最後に浜名湖で泳がせば、浜名湖うなぎになるわけです。

曽志崎:ラボグローダイヤモンドの話は、コモディティ化と、それとは真逆のベクトルに向かう可能性との両方を秘めていて、非常に面白い世界ですね。

 

商品のオリジナリティこそが競争優位に影響する時代

榊原:ラボグローダイヤモンド、部屋で作れませんかね。(笑)

皆さんの家庭でラボグローダイヤモンドメイクができるようになったら、すごく価値は下がりますが、そこにはコンテキストの価値を付けていく競争が生まれるわけですよね。

物体としての価値競争と、そこにストーリーを付けていく二つの競争がある場合、よりオリジナリティを発揮しやすいものに多くの人が参加します。

それは当然、後者となるわけです。

曽志崎:フィジカル空間上に存在するか否かが競争優位に影響するのか、あるいは、サイバー空間上のデータであるコンテキストなどが競争優位に影響するのかという違いが出てきますよね。

世界平和という大きな枠組みで見れば、ブロックチェーン技術をはじめとして、フィジカルに傷を負わない良い方向へ時代が進んでいるという解釈ができそうです。

榊原:そうですね。モノの価値の証明がサイバー空間へ移行して、たくさんの人が参加しやすくなったことで、作ること自体の難易度とコンテキストを付与する難易度の、どちらも難しいという領域が、もっとも難易度の高い領域となるでしょう。

競争が激化すれば、製造も難しくなり、そこに付与するストーリーも洗練される。その中でどうやって価値を高めていくのか、という部分が一番難しくなります。

今後、100年200年経つごとに、さまざまな業界が同じように難易度を高めていくでしょう。

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この番組のパーソナリティ

榊原直也

榊原直也

データ・サイエンティスト株式会社 代表取締役社長

Webメディアと検索順位との関係を数学的に解き明かす技術で複数の特許を持つ。その技術を駆使したサイト診断サービスは、その効果が口コミで広がり、いまや著名企業が何ヶ月も待つほどの人気サービスに。プライベートでは、難しい分野でもわかりやすく楽しい雑談ネタにしてしまう「バラトーク」が、学生、主婦、ビジネスマン、経営者など幅広い層に大人気。モットーは「楽しく!わかりやすく!」。

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