世の中の興味深いマーケティング事例や大きな数字、意外な事実など、経営者 榊原直也 のアンテナに留まったビジネス話題をご紹介する「ばらさんのBusiness Talk | バラトーク」。
今回のテーマは、同質性と多様性について。人は異質なものに触れると時に嫌悪感をおぼえますが、高い同質性と多様性が共存することはあり得るのでしょうか。ジョンソン&ジョンソンの事例などを取り上げながら、同質性と多様性が共存する組織のあり方についてディスカッションしました。
◇ 出演者 榊原直也 / 曽志崎寛人
◇ ゲスト 村西重厚さん
提供 : データ・サイエンティスト株式会社
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- 「ありがとう」はアンガーマネジメントの特効薬
- 同質性を高めるためにリーダーは価値観を浸透させる
- ジョンソン&ジョンソンに学ぶ、同質性と多様性を共存させる方法
- 愛が人と組織の行く末を左右する
「ありがとう」はアンガーマネジメントの特効薬
村西:最近アンガーマネジメントという言葉も出てきてますが、自分で自分の機嫌をとるって結構大事な能力だと思うんです。イラッとした時に出るホルモンって、だいたい90秒ぐらいでおさまるらしいんですね。でもそこで怒ってしまうと、たとえばあおり運転とか、電車内での暴力とかに発展してしまう。
榊原:この前テレビを見ていたら、ある有名な野球選手のご自宅を取材していたんですよ。娘さんがテニスの選手なんですけど、お父さんには試合を見に来てほしくないって言うんです。なぜかというと、ちょっとでも不手際があったり、負けたりしようものなら、ずーっと不機嫌になるからと。
それを見ていて思い出したんですが、昔のスポーツ業界や体育会系部活って、「水飲むな」というようなところがあったじゃないですか。
村西:スパルタでしたよね。
榊原:でも、楽しくマネジメントしながらもトップアスリートを育てるようなノウハウは、世界中に溢れているわけですよ。にも関わらず、そういったことも勉強せずに、ちょっとしたミスでずっと不機嫌になる・・・。その娘さん心底嫌そうな顔が、すごく印象に残ってますよ。機嫌を良くする力って大事やと思うなあ。
村西:最近、その特効薬をある人から聞いたんです。何が起こっても「ありがとう」って思うんですよ。「お前そこがなってない」とか言われても、一旦感謝する。この経験を、自分はどうプラスに変えられるかっていう受け止め方です。「もしこう言われたらこうする」っていうIF文は、作れば作るほど大変じゃないですか。だから対応はひとつに絞るんです。自分の機嫌をとるために、まず「ありがとう」で返す。
曽志崎:その瞬間、何に「ありがとう」と言っているかはわからない状態でも、ですか?
村西:わからなくても、とりあえず反射で「ありがとう」。妻が怒ってたら、「トイレの電気を消し忘れた俺を直そうとしてくれてるんだ。ありがとう」みたいな(笑)。
榊原:そういうことが研究されたりディスカッションされてるっていうのはいいことですよね。
同質性の高い集団の「気持ち悪さ」は、集団にとっての「心の安定」
曽志崎:でも、みんなが「ありがとう、ありがとう」って言ってる職場も、気持ち悪いとまでは言いませんが・・・
榊原:新しい価値観って、基本気持ち悪いんですよ。たとえばなんとかハラスメント。セクハラとかモラハラって30種類以上あるらしいですが、こんなに言われ始めたのはここ最近のことでしょう。1970年代の人が今の時代にワープしてきたら、「なんか気持ち悪っ、この社会」って思いますよ。
自分とあまりにも違うものが、同質性高くたくさん固まってると、人は「気色悪っ」と感じるんです。たとえば、ダンゴムシが100匹いるとしましょう。自分はダンゴムシじゃない。気持ち悪い、そうでしょ?(笑)
宗教でも企業でも、同質性が高い集団は遠くからだと気持ち悪く見えてしまうんでしょうね。
曽志崎:ただ、新しい価値観に対する「気持ち悪さ」も、時間が経つといずれ「当たり前」に変わるじゃないですか。このプロセスも興味深いですね。
村西:ある経営者の方が、「自分の色で会社を真っ赤に染める」という言い方をされていたんです。それって、価値観をしっかりと浸透させることで集団の同質性を高める、というリーダーシップですよね。
トヨタの社員が特定のネジの置き方をするのも、宗教の方々が特定のお祈りをするのも、実は行動原理としてはあまり変わらないのかもしれません。どちらも、自分にとって心地のいいことをしているに過ぎない。所属する人々に心の安定をもたらす組織設計をするという意味では、経済も宗教も同じなのかもしれません。
ジョンソン&ジョンソンに学ぶ、同質性と多様性を共存させる方法
榊原:同質性と多様性が絶妙に共存できてる組織って、めっちゃ居心地いいでしょうね。
「多様性を認める」だけだと、平均化が起こるんです。株式のポートフォリオでも、銘柄を組み入れれば組み入れるほど日経平均に近づいていってしまう。「うちの会社はみんな自由です」ってやると、それって結局世間と変わらないんですよね。でも逆に「このビジョンで一丸となってやっていくぞ!」とやると、同質性は高まりますけど今度は予想外のアイディアが生まれづらくなる。
同質性が高まりすぎた組織は多様な意見を欲し、多様になりすぎた組織はクレドとかビジョンとかミッションステートメントを作り始めたりしますよね。
村西:同質性と多様性はトレードオフの関係なんでしょうか。
榊原:共存し得るんじゃないですか?
村西:軸の部分だけは同質性が高い、という切り口でなら共存し得るのかなと思います。たとえばジョンソン&ジョンソンは、ずっとクレドを守りながら成長し続けているじゃないですか。毎年毎年クレドの研修があって、もう変態的なまでに全員で徹底してやっているそうなんです。でも一方で、非常にダイバーシティのあるグローバルなビジネスも展開している。同質性と多様性がすごく上手に共存した会社だなと思います。
たとえば途上国で国に賄賂を要求された時に、現場のマネージャーとしてどうあるべきかといったような問いを用いて、みんなでクレドについて考えるそうですよ。
榊原:単に理念やビジョンを唱和するんじゃなくて、モデルケースを出して考えるというのは面白いですね。企業によっては答えが異なるかもしれませんよ。
村西:賄賂を贈らないとなかなか認可がおりないといった問題も一部の国ではあるらしいですからね。「まあまあ」と言いながらうまく土地に根を張ってやっていく企業もあれば、「そういうビジネスはしない」と撤退される企業もあるでしょう。Googleが中国から撤退したのも、そのあたりの判断があったんでしょうね。
榊原:Googleは「邪悪になるな」っていう社是を持っているそうですよ。
村西:彼らの社会的影響力の大きさで、「手段は目的に勝つ時がある」なんて言い出したら困りますもんね(笑)。
榊原:綺麗な言葉だけでなく、「『手段は目的に勝つ時がある』と考えるべきか否か?」というようなことこそ、クレドに盛り込むべき要点のひとつかもしれませんね。
「愛」が人と組織の行く末を左右する
村西:やっぱり組織においても愛って大事なことだと思うんですよね。社内に対しても、お客様に対しても、ビジネスに対しても。
以前、ビジネスパートナーとのやりとりに苦労されているお客様がいたんです。先方から愛のない対応をされていたんですが、イラッとしつつも、経済合理性だけで見ればそこと取引せざるを得ない。でも、私たちと取引をするようになって、初めてビジネスパートナーから愛されるということを知ったようなんですね。すると、今まで当たり前だと思っていた世界が、当たり前じゃなくなってくる。
榊原:似たようなケースで、大人不信になりながらも、世に出てから親切な人たちと出会って価値観が変わったという人に会ったことがあります。
昔その人は沖縄で暴走族のようなことをやっていて、少年鑑別所に入ったそうなんです。でも、そこで出会った更生員みたいな方からいろいろと良くしてもらって、「もっとちゃんとやっていきたい!」「勉強して大学に行きたい!」と心の底から思った。その後苦学して大学に進まれて、今は国防関係の仕事で活躍されていますよ。メカが得意だったからって・・・まぁ昔はバイクいじりをやってたわけですけど(笑)。
曽志崎:やっていることは同じでも、周りとの関係性によって変わるものがあるっていうのは面白いですね。
榊原:周りの接し方が変わるだけで、自分にはこういう面があったんだと気付くこともあるんでしょうね。
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