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世の中の興味深いマーケティング事例や大きな数字、意外な事実など、経営者 榊原直也 のアンテナに留まったビジネス話題をご紹介する『ばらさんのBusiness Talk | バラトーク』。

今回のテーマは、あまりにも実体感の希薄な、現代教育に対する警鐘です。砂場の小さな小さな砂つぶを観察して導き出した「手元から始める教育論」とは、一体どのようなものなのでしょうか。今回は、曽志﨑さんと共に話を進めてまいります。

 

◇ 出演者 榊原直也 / 曽志崎寛人

提供 : データ・サイエンティスト株式会社 
https://kwtool.co/company.html

 

  • 眠れない睡眠術
  • 榊原少年がときめいた、砂場の巻貝の不思議
  • アリティがないものばかり教える学校教育への疑問
  • 自ら考えることは、「どうして⁉︎」という驚きから始まる
  • 大人になって初めて分かる「国の滅亡」の実態
  • 榊原流、映画から学ぶ産業史
  • 子供たちが楽しくマーケティングを議論する 
  • 子供達の「知ってる」テーマが、知識の幅を広げる
  • 手元から始めろ教育論」のススメ
  • 歴史教科書の理想的リニューアル案のプロセス

眠れない睡眠術 

榊原:眠れなくて悩んでる人は多く、僕もその一人です。そこで、米軍が実践している睡眠術を試してみました。

曽志﨑:どのようなものですか?

榊原:まず足先に力を入れます。次に入れた力を抜いて解放をイメージする。そして、徐々に力を入れる箇所を体の上の方にすると、いつの間か寝てしまうそうです。

やってみましたが、…眠れません。

曽志﨑:どうして眠れないんでしょう。

榊原:私の場合、まず足の指先を意識した途端、「足の指って、うまいことできてるな」と考えてしまうんです。足の造形美、この形になるまでの長い年月、大草原を行き交う人の姿を想像してしまう。足の裏はすごいと、感動してしまいます。

足でダメならと、今度は手のひらを意識して睡眠を促します。やはり、手のことを考えただけで、「手ってなんて素晴らしいんだろう」と考えてしまい、寝られませんでした。

曽志﨑:僕の場合、足の歴史を考える頃には、もう草原の夢を見始めてますよ(笑)。

榊原:草原の夢、いいですね。眠るためには広い空間をイメージすることが大事かもしれません。細部についてイメージすると眠れません。

 

榊原少年がときめいた、巻貝の不思議

曽志﨑:榊原さんは、例えるなら砂場の砂つぶの一粒一粒を観察するような、物事の細部についての関心が高いですね。

榊原:砂場の砂つぶといえば、小さい時に、こんなことがありました。

僕が最初に体験した砂つぶは貝なんです。僕の通った幼稚園には広い砂場があり、砂場の砂には、砕けた貝殻が使われていました。一粒一粒が小さい巻き貝や二枚貝などのかけらでできていて、紫やピンク色がとても美しかったことを、今でもはっきり覚えてます。子供の僕は珍しくて、砂場の一粒一粒を、どれだけの時間眺めていたことでしょう。

中でも、巻貝に興味を持ちました。巻貝は小さくてもすでに完成形をしています。

もちろん、砂場の巻貝に中身はありません。しかし子供は想像するんです。「ここに生き物がいたんだ」と。

砂場で遊んだ後、よく海洋生物の図鑑を見ました。殻から顔を出しているカタツムリのような挿絵や、貝の断面図が出ていました。小さな貝殻の中に、こんなにも複雑な肉体構造があったのかと、僕はびっくりしたものです。

そして、また砂場へ行く。一見、砂つぶに見える小さな貝たちの一粒一粒が、複雑な肉体構造を持っていたんだと考え、ときめいていました。

 

リアリティが足りない学校教育への疑問 

榊原:私が幼少期の砂場の体験から思うのは、今の子供達の学習方法への疑問です。現在の小中学校では、触ることもできない物事を、抽象的に教えることが多すぎないでしょうか。

例えば、教科書の中の偉人たち。会ったことも見たこともない人たちの名前なんて、簡単に覚えられますか。

曽志﨑:確かにそうです。僕が名刺交換した人の名前を、会ったこともない榊原さんに、覚えてくださいって言っているようなものです。

榊原:その方の人間ドラマが面白ければ、多少は記憶に残るかもしれませんけどね。大人は、「ギリシャ」と言われたら、エーゲ海や美しい風景が目に浮かぶし、知らない偉人も記憶できるでしょう。

しかし、経験の少ない子供には難しい。教科書を作成する方や小学校の教育プログラム作っている先生方には、もう一度、子供達への教え方を考え直してただきたい。

小中学生には、実際に自分で見て触って理解しているものを学ばせてあげたいですね。

 

自ら考えることは、「どうして⁉︎」という驚きから始まる  

榊原:子供にとって触ることもできない実体感が薄く、抽象的な話から入るよりも、砂場の砂のように手が届く話からはじめてはどうでしょう。

歴史も探偵ゲームのようにできたら面白い。自分たちで実際に見た場所を、時間を遡ってひも解いていくのです。

「この建物は、どうしてここにあるのだろう」という疑問が湧いたら、建物がなかった時代に想いを馳せ、誰がどういう理由でこの地に建物を建てたのかを調べていく。

考えるきっかけは、手品を見たときのような驚きです。人は驚きがあって初めて、「どうしてそうなるのか」を考えるのです。今の子供達の学習方法は、なんの前振りもなしに、いきなり手品の仕掛けから見せてしまってはいないでしょうか。

ここに大きな神社があるとする。神社について語る前に、いきなり「XXX年に、なにがしが建立しました」と種明かしをしてしまう。

曽志﨑:実態感覚がないですよね。

榊原:全くありません。建立という言葉には、建てることの苦労やドラマ、関わっていた人の息づかいが感じられません。

建立した事実は常識として大事かもしれない。しかし個人的には、常識は大人になって興味が湧いてから、自分で学べば十分だと考えます。

 

大人になって初めて分かる「国の滅亡」の実態

榊原:現在、学校で教えている歴史のほとんどは、政治史と軍事史です。「偉い人と偉い人が喧嘩して、国が滅んだ」という表現がよく出てきます。

みなさんは、「滅んだ」と子供の時に聞いて、どう思いましたか。滅んだ国の市民や街が壊滅した姿を、想像しませんでしたか。しかし大人になって、「滅んだ」という言葉の実態を知ります。

ある国に他の国が攻めてきて、その結果、国が滅ぶ。しかし国が滅んでも多くの場合、市民はそのままの生活をしています。政権を司る人たちの顔ぶれは変わりますが、彼らでさえ反乱が起きないように気を使いながら、新旧勢力が協力して国を作っていく。

これが実態です。子供の頃イメージしたアニメ的な「滅んだ」とは違うんです。

実態を語りもせずに、「◯◯年にXXが攻めてきて、国が滅んだ。覚えとけ」と言われても、覚えられるわけがありません。

曽志﨑:それより、砂場の巻貝を観察して、想像して、図鑑で調べて、新しい発見をする。この方が、興味を持って自ら学習するので、身につきやすいですね。

榊原:その通りです。

 

榊原流、映画から学ぶ産業史

榊原:私は政治史を教える前に、産業史を教えるべきだと思っています。産業史といっても、そんなに難しい話ではありません。

もし、こんな授業があったら楽しいのではないでしょうか。

先生:(生徒たちに向かって)みなさんがいつも見ているアニメは、どこの会社が作ってると思う?

 

生徒A:東宝でーす。

生徒B:東映アニメーションです。

 

先生:では、このおもちゃは、どこの会社が作っているの?

 

生徒C:トミカやバンダイです。

榊原:子供たちは、映画のエンドロールや箱についてるロゴを見て、よく社名を知っています。このような授業で、子供達は映画やおもちゃなど作品の背後には、作っている人たちがいるということを知ります。そして製作者たちは、どこかに属していることも覚えます。

身近に接してるものから知識を広げていって初めて、実感でき興味を持てる、身につく学習ができるのではないでしょうか。

 

子供たちが楽しくマーケティングを議論する 

榊原:授業はさらに進みます。

先生:ここでクイズです。ドラえもんの映画とコナンの映画、どちらが見に行った人の数が多いでしょうか。

生徒:(各々の答えで盛り上がる)

 

先生:正解は◯◯でした!実は、コナンの映画とドラえもんの映画を比べると、コナンの映画の方が、大人が観た割合が多いんです。どうしてでしょう。

 

生徒:(子供達、考えたり発言したり)

このような授業では、身近な話から、企業の存在や企業間競争、映画の動員人数に視聴率や販売量などが、自然と話し合われます。そして、子供自身や友達が見聞きして接したことがあるという、ごく身近なところから追求していく。そのため、実際に世の中で起きてることを、興味を持って身につけられるんです。

 

子供達の「知ってる」テーマが、知識の幅を広げる

榊原:身近な話題から始め、どこかの過程で抽象的なことを持ち出すと、知識の幅を広げることができます。

ここで授業に戻ります。

先生:コナンの映画とドラえもんの映画を比べるって、企業同士の競争だよね。企業には元々の成り立ちがあって、元々はこの企業だったんだよと。

 

生徒:へー、企業ってくっついたり、離れたり、なくなっちゃたりするんだ。

 

先生:お仕事の権利が他の会社に移ることもあります。スターウォーズも元々はジョージルーカスさんが持ってた会社だったけど、今はディズニーです。ジョージルーカスさんは会社や権利をディズニーに売ったんです。

 

生徒:へー、スターウォーズは今、ディズニーなんだ。じゃあ、ディズニーのライバルはどこだろう…。

子供達のすでに知っている事を使うだけで、驚くほど様々な勉強ができますね。

 

「手元から始めろ教育論」のススメ

榊原:僕は、特に歴史教育に対して「手元から始めろ教育論」を提唱したい。学習する事柄は全て、子供本人が見聞きして実感できるところから始めるように、教育者は工夫をするという概念です。

生活実感を伴うものは復習効果があります。日常生活で頻繁に触れるからこそ、頻繁に復習効果が得られ、定着しやすくなる。おもちゃで遊ぶたびに授業を思い出したり、ディズニーの映画を見るたびに、企業についてディスカッションした授業を思い出せる。

幼少期から10歳くらいまでは、日常生活の全てが復習に繋がりやすいため、手元から繋がる学習を徹底したいですね。

子供が何かに取り組む際には、実感をもてることから始めるという、スタートポイントが重要です。そして、みんなが目標を達成できるよう、その子に合った歩幅で話を展開していくことが理想です。

私が最初に勤めた会社は、学習塾を経営している会社でした。一人一人の子供に合ったスタートポイントや、的確な目標を用意してあげることの重要性は、当時から言わていました。子供たちに、ちょうど良い歩幅の目標を用意してあげると、気づいたらみんなステップアップしているんです。

 

歴史教科書の理想的リニューアルプロセス 

榊原:歴史の教科書を編纂し直す際には、次のようなプロセスで進めていただきたい。

・ステップ1 ー 子供達が日常で接しているものを洗い出しリストアップする。

・ステップ2 ー 作成したリストを、インパクトが高い、学習効果が高い順に並べ替える。

・ステップ3 ーリストアップした物事をテーマにして、授業を作れるか上位から順に検討する。

例えば、おもちゃを起点として、どういう話題に繋げられるか検討する。そして、リスト中の項目の一つ一つに対して、考察を行う。

いかがでしょう。当然、編纂者たちのチームビルディングをするプロセスも必要でしょう。しかし、私が提唱するプロセスに沿って行動し変えてくことが、我々が子供達のためにすべきことではないでしょうか。

加えて、今の教育プログラムとの差分のチェックも大切です。まずは、重要度が高い10個の事柄について、今の制度や教育プログラムで満たせているものと満たせていないものを見極めたい。そして、全く満たせていないものに関して早急に、義務教育中で教えられる機会がないか、どこかに組み込めないかを検討すべきではないでしょうか。

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この番組のパーソナリティ

榊原直也

榊原直也

データ・サイエンティスト株式会社 代表取締役社長

Webメディアと検索順位との関係を数学的に解き明かす技術で複数の特許を持つ。その技術を駆使したサイト診断サービスは、その効果が口コミで広がり、いまや著名企業が何ヶ月も待つほどの人気サービスに。プライベートでは、難しい分野でもわかりやすく楽しい雑談ネタにしてしまう「バラトーク」が、学生、主婦、ビジネスマン、経営者など幅広い層に大人気。モットーは「楽しく!わかりやすく!」。

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