世の中の興味深いマーケティング事例や大きな数字、意外な事実など、経営者 榊原直也 のアンテナに留まったビジネス話題をご紹介する『ばらさんのBusiness Talk | バラトーク』。
一見モチベーションマックスに見えて、心の内では疲弊しているビッグアーティスト。一方で、疲弊とは無縁の世界で活動に夢中になれる人もいます。両者を分ける境界線について語り合います。
◇ 出演者 榊原直也 / 曽志崎寛人
◇ ゲスト 大前和徳さん
提供 : データ・サイエンティスト株式会社
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疲弊する人気アーティストの内面で何が起こっているか?
「能動性」がビートルズとほかのバンドの運命を分けた
人気絶頂にあっても「飽き」が「鬱」をもたらす
「飽き」と「夢中」を分ける境界線
自分の「夢中」が世の中のニーズと一致する幸せ
疲弊する人気アーティストの内面で何が起こっているか?
榊原:人が疲弊する理由として、「飽きる」という要素は無視できないファクターですよね。売れっ子ブームの来た芸能人、例えばピンクレディーでも当時は延々と巡業が続きました。アウトプットの状態が続くと、精神的に疲弊するらしいですね。
あれだけ周りから賞賛されて、我々一般人からしたら信じられないほどのその拍手を毎日もらうわけじゃないですか。売れている時は1日に3回も4回も公演をやる。その結果疲弊していくということは、究極の話、当人はそれを求めてないってことですよね。
そこには、何か内的な要因があるんですよね。
大前:人が満足感を得る背景には、「能動的」か「受動的」か?というのが大きい気がします。要は、「やらされている仕事」か「主体的にやっている仕事」か、ということです。A局からB局にハシゴして、Aスタジオで歌いBスタジオで歌う。それは本人が主体的にやっていないんですよね。
榊原:歌う行為自体は能動的で、ステージではものすごくファンを沸かせる。観客側の僕らから見たら、めっちゃ能動的にやってるように見えるじゃないですか。ただ、「受動的」か「能動的」かを判断する基準にはいろんなレイヤーがある。疲弊する人は、根本的なところで「能動的」になれてない、ということかもしれないですね。
「能動性」がビートルズとほかのバンドの運命を分けた
大前:かつてビートルズは、イギリスやアメリカでセンセーションを巻き起こしました。日本やオーストラリアでワールドツアーライブを展開するほど人気でした。でも、ある時ぴたっと止めて、レコーディングミュージシャンに変わっちゃうわけです。
ライブでは、どこに行っても熱狂的な声援を受ける。でも、当時はPA技術も今ほど発達していないので、演奏や周りのハーモニーの音もよく聞こえない。ファンはキャーキャー言っているだけで、聞いていないんです。ライブ環境がままならないまま、ファンに手を掴まれ頭を掴まれ、身の危険を感じながらやっていた。一見能動的に思えるライブ演奏だけど、彼らにしてみれば疲弊するしかなかったんです。
ビートルズが解散した一方で、ローリングストーンズは解散しなかった。その違いはライブを続けたかどうかだと、僕は確信してますね。
去年映画「ボヘミアン・ラプソディ」が公開されましたが、それを見て感じたんです。映画の中では、クイーンの分裂時期や再結成の様子が描かれています。彼らの再結成のきっかけは、バンドエイドのライブでした。久しぶりにライブで一緒に演奏してみたら、すごく反響が良かったし満足感があった。そこから、再びみんなでライブツアーやアルバム制作を、という流れになってくるんです。
やっぱり一緒にライブをやる一体感が、ロックバンドにとっては絶対的に大事なんだろうな、という気がします。
ビートルズは、スタジオにこもって不朽の名作をたくさん作った。けれど、バンドとしてはライブをしなくなった結果、仲たがいが始まって解散したと言われています。クイーンやローリングストーンズを見ると、そんな違いを感じますね。
榊原:行くとこまで行ってしまったアーティストさんの疲弊ぶり。一方で再復活していくバンドを見ると、スケジューリングについて色々学ぶところがあるなって感じますね。
人気絶頂にあっても「飽き」が「鬱」をもたらす
榊原:僕の感覚だと、どれだけ嫌々ツアーをやらされてても、ステージ上に立ったら全部気分晴れるんちゃうか、と思うんです。自分達を見て歓声を上げて、泣き出す人もいるほど切実に求められている。それでも、人間のマインドとして、気が晴れないっていうことですよ。
例えば、世界的なロックスターバンド抱えてるっていう会社があるとしましょう。アーティストは意気揚々とステージをやっているし、ファンにキャーキャー言われる。当然、本人たちのモチベーションはマックスに見えるんです。でも、実は本人たちの心は病んでいる。
大前:それは、自然の摂理だと思うんですよね。生身の人間なんで、疲弊すると思うんですよ。その一瞬のカタルシスは絶対にあるにしても。だから、ビートルズもキャーキャー言われて最初は気持ち良かったと思いますよ。躁鬱で言うと躁状態で。でも、そんな状態は続かないんですね。
榊原:我々が子供の時に見てたテレビCMで、名作がいっぱいあるでしょう。企業を象徴するような名CM、例えばコカ・コーラですね。南カリフォルニア風のロケーションの中、青春そのものみたいな人達が大勢出てきてノリノリで歌う。それで最後に…。
大前:イエスコークイエス。
榊原:名作ですよね。そんなCM、また放映したらいいのに、と思うんです。当時のCMを知らない人達もいっぱいいるはずです。
それなのに放映しないのは、きっと企業が飽きてるんですよ。「新しいのが作りたい」「作らなきゃいけない」と思い込んでいる。「飽き」からくる「古い」という思い込みが、過去の貴重な資産も埋もれさせることになるんです。
「飽き」は、ビッグアーティストの鬱の問題にも関係しているように思います。彼らも観客が熱狂している間は同じことをすればいいのに、自分たち自身が歌うのに飽きてくる。「何回も同じ歌を歌う」「次の日も次のツアーも全部同じ曲」…要するに、嫌気がさすんですね。
「飽き」と「夢中」を分ける境界線
榊原:イチロー選手の話なんかを聞いていると、彼は飽きてないでしょ。ただひたすらに飛んできたボールに対して、バットを振る。数センチ数ミリ単位で、的確に当てることだけをやり続けてるじゃないですか。
宮崎駿さんもそれに近いことをおっしゃってたんです。線を描いては紙をくしゃくしゃに丸めて捨てる。あの人、平気でどんどん捨てていくんですよ。どんどん。
そういった飽きない人たちもいるってことなんですよ。彼らは飽きることに対する耐性を持っている。どんなビッグアーティストも飽きて疲弊していく中で、「飽きない」のは才能ですよね。
人々が必要としている領域と自分が飽きない領域が一致してるのは、とても幸せなことだと思います。
大前:「歌うことが楽しい」と言いながら飽きる人がいる。それは、本当の意味で好きじゃないんじゃないかな、という気がしますね。あるいは、好きだけど得意じゃない。好きなことをやってはいるけど、「自分にはもっと他に得意なことがあるんじゃないか」と内心で思っている人は、飽きてしまう。
でも、それが大好きでかつ得意だと飽きないんですね。イチロー選手もそうだと思うんですけど、常に自身の成長を追求するわけです。
自分の「夢中」が世の中のニーズと一致する幸せ
榊原:歌手でも自分で歌うのに飽きてきて、元の音源とは全然違った歌い方する人いるじゃないですか。
でも、加山雄三さんは、ほとんど同じように歌い続けているそうです。レコードで録音した時とほぼ同じに、ずっと今でもライブで歌い続けているんです。毎回歌うヒット曲も、一緒なんですって。飽きずにそれをやり続ける人には、異様な恐ろしさを感じますね。
大前:当人が本当に好きであって、適性もあって、ファンもまたそれを求めている。すべてがうまくいくことで、ビューティフルなマリアージュが成立している感じですよね。
榊原:人々が「ぜひ欲しい」と思っているところに、たまたま自分が飽きない領域を持っている。そこが一致してれば幸せですよね。それこそ飽きずに何十年も、加山雄三さんみたいに50年間もずっとやり続けられる。
大前:確かに幸せなミュージシャンというか音楽家人生ですよね。
曽志崎:イチロー選手は、引退会見の時に「できるだけ若いうちに自分の好きな事・向いていることに出会うことだ重要だ」と言っていたそうです。とても大事なメッセージだと思うので、将来を担う子供たちにも伝えていけたらいいですよね。
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